今日のブログは、過去のブログでおすすめ映画について書いたものを、再編集・加筆修正してお届けします。
この「第9地区」(ニール・ブロムカンプ監督)2009年(平成21年)ですが、少し前の作品ですので
もうすでに鑑賞された方もおられるかとは思いますが、
まだ鑑賞されておられない方は、出来るだけネタバレサイトなどを観ないで、鑑賞される事をお勧め致します。
さわりだけあらすじを最初話すと、
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突如、南アフリカのヨハネスブルグの上空にUFOが現れるのですが、
そのUFOは、「宇宙戦争」「エイリアン」みたいに、人類を侵略する訳でもなく、
人間を殺して、卵を植え付けるような事も無く、
ただただ沈黙し、浮遊していたために、地球人が中に侵入すると、
中に居たのは、病気で弱った、小汚いエビ型の宇宙人達でした。
彼らの上級階級的な宇宙人達は、既に死んでおり、残ったのは下層階級と思われる、
あまり頭の良くない様な宇宙人達だけでした。
南アフリカ政府としては、やむを得ず、世界の目もあるので、
UFOの下に、難民キャンプの様な形で、収容所(第9地区)を作り、それから20年後が経過しました。
その間、この小汚いエビ型宇宙人と、周囲の地球人の間にはトラブルが相次ぎ、
第9地区の管理を任された超国家企業「MNU」のエイリアン管理課に所属する、ヴィカス(主人公)は、
その難民化したエビ形宇宙人達を、第10地区に移す仕事の責任者になり、
妻のためにも、危険な仕事を頑張ろうとしますが・・・
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というもの。
↑左の白人がヴィカスです。
この出てくる宇宙人が、どうひいき目に見ても、仮面ライダーに出てくる怪人にしか見えず、
小汚く、立ちションはする、似合わないのにブラジャーを付けている、猫缶をあさましく食べる、
知能が低そう、品性が低そうと、まあ小汚い事。
だからこのエビ型宇宙人を、見せかけの書類にサインさせて、さっさと第10地区に移そうとしたり、
エビ型宇宙人の卵を、火炎放射器で焼くヴィカスの行動を観ても、「まあこれは仕方が無いかな」と、
誰もが思う事ですし、前半、このエビ型宇宙人に同情できる観客はまずいないでしょう。
ヴィカスについても、小役人的なおためごかしで、物事を進めていくので、「こいつ本当に主人公なのか」と
観客は思いながら、やむを得ずその有様を見続けていると・・・・
ヴィカスの身にとんでも無い事が起こります。
エビ型宇宙人の強制移住計画の途中で、エビ型宇宙人の家に難民キャンプに置いてあった、
謎の液体を被った事により、ヴィカスの身体は、徐々に人類のそれでは無く、
エビ型宇宙人の身体に、変わっていくことになります。
今まで普通の人間として、エビ型宇宙人の強制移住計画を中心で進めていたのにも関わらず、
貴重な人体実験のサンプルとして、超国家企業「MNU」から追われる事になるヴィカス。
これ以上書くと、実際に観た時の衝撃を削いでしまうので、この話、どう収拾付けていくのかは、実際にその目でみて下さい。
↑じょじょに変貌を遂げていくヴィカス
この話の大きなキーワードになるのが、カニと修造理論というもので、この様な理論です。
以下要約~
2009年9月19日放送サタデーナイトLaboでの「スクリプト・ドクターというお仕事」特集で
映画において観客が思い入れのできる主役の描き方として
ゲスト出演した三宅隆太さんが披露したカニと修造を登場させた例え話のこと。
映画制作当事者ならではの脚本手直しの考え方として具体的でわかりやすく
カニと修造という取り合わせの妙もあってタマフル・リスナーの間で広まった。
グルメリポーターとして漁船に乗り込んだ修造が漁で獲れたてのカニをおいしそうに食べる、
という演出の映像を観た観客はおいしい食べ物を頬張る修造に対して、
「あ~美味しそうだな。」「やっと釣れてよかったね」「私もカニ食べたい」など思い入れを持ちながらその映像を観るが、
同じエピソードでも修造がカニを食べるシーンの直前に、
擬人化された可愛いカニ一家の海底でのほのぼのとしたやりとりと団らん風景が描かれた後、
出勤途中のお父さんカニが船上の人間によって捕獲され、息子の見ている前で、お父さんカニが、
その場で八つ裂きにされて、人間に食べられてしまう
という演出が加わると、
「この極悪人修造があああ!!」と
映像を観た観客は先程と同じエピソードにも関わらず
修造ではなくお父さんカニに対して思い入れを持ってしまう、
といったように映画においてはエピソードの描き方とシーンの挿入の仕方によって
同じエピソードでも観客が思い入れをする対象が変わってしまうことを解説した。
修造という名前がグルメリポーターとして登場するのは
フジテレビのグルメ番組『くいしん坊!万才』のリポーターを松岡修造がつとめていることから
~以上要約
この事を頭に入れて観ると、より楽しめると思います。
「ゾンビ」映画で有名なロメロ監督が、実はゾンビというものを、メタファーにして、
人間や社会問題を描いているという事を最近知ったのですが、ニール・ブロムカンプ監督も、
アパルトヘイトで有名な南アフリカ出身だけあって、この監督も同じような視点や手法を使っていると思います。
この「第9地区」は、根底に差別というものに対する、監督自身の怒りがあるのですが、
誰も金を払って、「差別はいけません」という説教を聞きたくは無いんですよね。
そんなものは、道徳の時間だけで十分でしょ。
失敗した映画で、美辞麗句をわざわざ、キャラクターの台詞にして話させるという事が、
往々にしてありますが、それをすると途端に安っぽくなるんですね。
映画なんだから、映像と音楽とストーリーで、それを見せつけた方が、断然よい作品になります。
この作品、SF設定である、エビ型宇宙人という題材を使い、日本のアニメリスペクトに溢れた、
SFの装置(パワードスーツや、ミサイルの描写)を使い、
圧倒的な暴力と破壊と熱量で、観客に見せつけて、
そしてエンターテイメントとしても、
熱いバディムービーとしても、
父親と息子の家族の作品としても、楽しめる、そんな作品です。
これもまた、死ぬまでには観ておいた方が良い作品として、皆様におすすめします。
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